知ろう、胸の内
自分らしくいられる海でピンクリボン活動
Ricoさんの場合
初めて受けた検診で見つかった乳がん。一人でも多くの人に乳がんについて知ってもらいたいと、大好きな海でピンクリボン活動を続けているRicoさんが今伝えたいことは?
自覚症状も、しこりもなかった
2012年12月、初めて受けたマンモグラフィー検査で「悪性の疑い」。がんか石灰化なのか判断が難しいものが見つかりました。自覚症状やしこりは全くなく、身内にも乳がん罹患(りかん)者はいない。「何かの間違いでは?」と思いました。忙しかったため、しばらくしてから「マンモトーム生検」という精密検査を受けました。2013年6月、乳がん告知。頭の中は真っ白に。「がん=死」「これからどうなっちゃうのかな」と不安に押しつぶされそうでした。
2013年8月2日、乳房部分切除術でがんを切除。転移を調べるためにリンパ節の一部も切除しました。そのため脇の下は今でも常にしびれていて、特に冬場はピリピリと痛みます。手術の際に組織を採取して調べた結果、ステージ1の特殊型の粘液がんだったことが分かり、放射線治療に加え、ホルモン療法がスタート。粘液がんはプニプニとしていて硬いしこりにはならないので、自分で早期発見するのは難しかったようです。
profile 2013年に乳房部分切除。放射線治療とホルモン療法を受ける。術後1カ月で放射線治療中ながら、サーフィン大会に出場。翌2014年からは大会会場などでピンクリボン活動を行っている。
ブログ https://ameblo.jp/rico-wave/
サーフィンと仲間が支えてくれた
いつ再発するか分からないという怖さや痛み、治療の副作用などと闘ううちに、「自分の足跡を残したい」と思うようになり、術後1カ月で女性だけのサーフィン大会に出場しました。サーフボードにうつぶせになることすら大変でしたが、頑張ってリハビリしました。海の中にいると夢中で、痛みも忘れちゃうんです。偶然、大会主催者の岡部亜紀プロの周りにも乳がん経験者がいて、その方々のお話を聞き、すごく励みになりました。その縁がきっかけで、翌2014年の大会会場で初めて、ピンクリボンのブースを出させてもらったんです。海・サーフィンがつないでくれた、たくさんの皆さまの支え、サーフィン仲間や同級生の協力で、この活動を続けてくることができました。
7月2日、千葉県・一宮海岸でのピンクリボン活動の様子。友人たちがいつもボランティアで手伝ってくれます
大事なことだからとカップルでブースに
今年7月には愛知県で行われた大会にもブースを出させてもらいました。20代のカップルが足を運んでくれたのですが、「怖いから…」と敬遠気味だった彼女に、彼氏が「大事なことだから」と言い、真剣に話を聞いてくれたんです。すごくうれしかった。正直、最初の頃は自己満足でしかなかったかもしれません。でも活動を続けるうちにたくさんの方と出会い、乳がんのことや早期発見の大切さを知ってもらうきっかけになれているかな、と皆さまの笑顔を見て思えるようになりました。最近は子宮頸がんについての情報も伝えています。
ブログやインスタで発信・つながる
初めて乳がん検診を受けた日から、ブログを書いています。感じたこと、自分が知りたかったこと、診察にかかった費用なども記録に残しておこうと。自分が手術前にネットや本で、「手術後はどうなるの?」「今までと変わることってどんなだろう?」「サーフィンはできるのかな?」とあれこれ調べたので、誰かの参考になればと思って。最近はインスタグラムを見て、ブースに来てくれる人もいます。ちいき新聞とつながったのもインスタでした。そうやって少しずつ広がって、一人でも多くの女性に自分の体と向き合う時間を持ってもらえたら…そう思って活動しています。