自分のために、家族のために
罹患(りかん)後の仕事
女性の社会進出が進み、共働き世帯も増え続けている現代、就労中に乳がんと診断されたら、仕事と治療はどう両立していけばいいのだろう?
そんな不安もあると思います。乳がん経験者の女性たちに、「そのとき」の体験談を教えてもらいました。
※ アンケートは弊社アンケートサイト「チイコミ!」と、アイビー千葉様、ASHARE様、ねむの会様のご協力を得て実施。回答99名。
- Q1. 乳がんになったとき、仕事をされていましたか?(就業形態は問いません)
- Q2. 乳がんのことを職場に公表または相談しましたか?
- 職場へはどのタイミングでどのように話しましたか?
- 「告知の翌日、社長だけに話しました。仕事を続けたかったので、迷惑をかけるかと思ったため」(40代)「告知後すぐ上司だけに。手術や治療で、会社を休むことが増えるため」(40代)「迷惑を最小限にするために、手術前に話しました」(60代)「術後に新たに職につきましたが、話すことでみんなに早期に乳がんを見つけてほしいと思っています」(70代)
- Q3. 罹患後に、仕事を辞めたり働き方を変えたりした場合、その理由やどう変えたかなどを教えてください。
- 「治療から2年後、主治医から無理をしない程度に短時間勤務でと言われたので、現在は体調の良いときに週1回3~4時間勤務しています」(60代)「夜勤を免除してもらいました。仕事復帰のときは週3回、半日から始めました」(60代)「抗がん剤治療をすることになり、体力的に自信がなかったため退職しました」(60代)「営業職から内勤職に仕事内容を変えてもらいました」(30代)
- Q4. 乳がんによる休職期間はどれくらいですか?
- Q5. 治療をしながらの仕事で、困難だったことやつらかったことはなんですか?
- 「迷惑はかけたくないけど、がんばりすぎるのもしんどい。体がきつい。それを打ち明けられる人もいない」(50代)「今までのキャリアを諦めなければいけない気持ちになったこと」(30代)「手術後2週間で仕事復帰。体力がなかなか戻らない中続けていたが、周囲に理解してもらえなかったことがしんどかった」(60代)「病気を受け入れることができず、仕事に集中できずつらかった。かつらも暑くて大変だった」(60代)「相談しても周りが経験していないため、結局自分自身しか分からないつらさに苦しんだ」(20代)
- Q6. 罹患後、仕事を続けてよかった方はその理由、辞めてよかった方はその理由を教えてください。
-
- 続けてよかった
- 「気がまぎれ、仕事に集中することができたから」(30代)「社会復帰をする目的に仕事があったことがよかった」(60代)「治療にお金がかかるから、経済面での安心が得られた」(30代)「自分らしく生きられる。前向きになれる」(50代)
- 辞めてよかった
- 「リラックスでき、自分自身を見つめ直す時間が持てた」(20代)「安心して治療に専念できた」(50代)「体調が悪くても気がねなく過ごせた」(50代)「ストレスから開放された」(60代)
広がる両立支援相談窓口
厚生労働省では、2016年に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を設け、治療を受けながら仕事を続けたい人に対して職場がどんな対応をしたらよいのかを紹介しています。また、相談窓口として次の機関などで専門の相談員が助言・支援を行うなど、環境整備も進めています。
利用可能な支援機関
● がん診療連携拠点病
がん医療の均てん化等を目的に整備が進められてきた病院(平成29年4月時点で全国434カ所)であり、院内に設置されているがん相談支援センターでは、就労に関する相談支援を行っている。必要に応じて、産業保健総合支援センターやハローワーク等と連携し、相談への対応を行う。
● 労災病院の治療就労両立支援センター
休業からの職場復帰や治療と就労の両立支援のモデル事業を実施し、事例を集積、医療機関向けのマニュアルの作成・普及を行う。
● 産業保健総合支援センター
治療と仕事の両立支援のための専門の相談員を配置し、支援を行っている。
● ハローワーク
主要なハローワークに専門相談員を配置し、がん診療連携拠点病院等と連携して患者等の就労支援を行う事業を実施している(平成29年12月時点で全国59カ所)。